人生最後の食事は?の問いに「パン一個と牛乳 (もしくは水) 」と答える僕ですが、
人生の最後に観たい映画は?と問われたら「 Into the Wild 」と回答します。
アメリカに住む青年クリストファー・マッキャンドレスの半生を描いたノンフィクション映画。
今から約20年程前、実際にあったお話です。
ストーリーを簡単に説明すると、裕福な家庭に育ち優秀な成績で大学を卒業した青年が、物欲社会や両親に嫌気を差し、誰にも言わず一人アラスカに旅立つ物語。
旅立った二年後、彼の死体がアラスカの荒野で発見されます。
この出来事をマスコミが報じ、彼の謎めいた死に人々の関心が集まりました。
ある日突然、人生のエリートコースを捨てての旅立ち、孤独な人生、早すぎる最期….
誰もが「 なぜ?」と疑問を抱きました。
けれど、彼の人格や価値観を知れば知るほど、それはごく普通の当り前の事であり、そもそも彼に対して人々が「 なぜ?」と疑問を抱く事自体が「 なぜ?」と思ってしまうような本末転倒な感情を抱かされます。
圧倒的に賢明で知的、感受性が豊かで冒険心のあるクリストファー(主人公)は孤独を恐れない人。
アラスカへの道中、彼は様々な人達に出逢います。
類は友を呼ぶように、出逢う人々も凄くチャーミングで気持ちの良い人ばかり。
その人物達を取り囲む背景も極上です。
アラスカの美しい風景、自然、動物、そして心地良い音楽♪
監督はショーン・ペン。
俳優としても素晴らしい彼は、監督としても優秀です。
一つ一つを丁寧に撮られていて、すごく綺麗な世界を魅せてくれます。
クリストファーが野生のエラジカと遭遇するシーンはとても雄大で神秘的。
感情的になります。
クリストファーは自分を誤魔化さずに生きた人。
彼の人生は何だったのか。
ただの「現実逃避」と片づける人もいると思います。
現代社会に辟易しただけの事なのかも。
でも、そんなに単純じゃない。
かと言って複雑でもない。
実にシンプルな、一人の青年の物語です♪